恐らく余程の事がない限り、平成30年を目処に、天皇陛下の
ご譲位と皇太子殿下のご即位は、実現するだろう。
その場合、憲法上、譲位を認めるには皇室典範の改正が不可欠。
だから当然、典範も改正されるはずだ。
では典範改正はどういう形になるのか。
およそ3つのパターンを想定出来る。
その1。
典範に付則を追加して“抜け穴”を作り、表面上は憲法違反を
免れながら、実質的には特別立法で対処するやり方。
最も姑息なパターンだ。
皇位の「重み」を踏みにじる暴挙と言う他ない。
皇室典範の体系性、整合性を損ない、その存在意義を否定するに近い。
譲位の「要件と手続き」の制度的確立の点でも不安を抱える。
譲位に“強制や恣意”が介在する可能性を排除出来ない。
その2。
典範そのものの中に、譲位を制度化する為に必要な改正を過不足なく
盛り込む。
だが、皇室それ自体の存続の為に求められる改正は「先送り」。
いわゆる“2段階”方式。
この場合、絶対確実かつ可及的速やかに「第2段階」の改正を行う
保証があるならば、そうしたやり方も緊急避難的に認められよう。
だがそうでなければ、逆に皇室存続の為の典範改正を再び“凍結”し、
遥か彼方に遠ざける(それはそのまま皇室の存続を不可能にする)
結果を招く。
その事は、これまでの経過からして火を見るよりも明らか。
その3。
陛下ご自身の「お言葉」によって、やっと皇室典範改正の気運が
再び生まれた。
だからこの際、譲位の制度化だけでなく、長年の懸案だった
皇室の存続上、どうしても必要な改正(その詳細な検討は政府内部
でも積み上げて来ている)も併せて行う。
「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていく
ことをひとえに念じ」ておられる陛下のお気持ちにお応えするには、
皇室そのものの存続を可能にする制度改正は絶対欠かせない。
皇室など存続しなくてもよいと考えているならともかく、
そうでなければ、3番目のパターン以外は選ぶ余地があるまい。
…と、ここまで書いて来たところで、
『朝日新聞』(9月8日付朝刊)の記事を教えられた。
一読、仰天。
政府は典範の改正には“一切”手を着けず、単独の特措法“だけ”で
対処しようとしている、と。
勿論、一代限り。
安倍政権は「特例の譲位、特例の天皇」では足らず、
「違憲の譲位、違憲の天皇」を求めているのか!